【クリムト展】ストーリー性がすごい!クリムト展はもはや映画【初日の感想】

こんにちは、りつよ(@riyonica)です。

4月23日。
私はこの日を楽しみにしていて、1ヶ月前から有給休暇の取得をしていました!
そう、何を隠そう「クリムト展 ウィーンと日本1900」の初日だったのです🙌🙌

クリムト展パンフレット

前回、奇想の系譜展に行ったときに、ポスターを見て絶対行きたい!!と決めていました。

目次

クリムトと私の出会い

私は、クリムトに詳しい訳でも、絵に詳しい訳でもないのですが、私のお母さんがクリムト好きらしく、実家には何枚かのクリムトの絵が飾られていました
子どもの頃の私は、クリムトの絵が少し怖くて、でも引き込まれるような、そんな印象をもって育ちました。
作品名は、接吻しか知らないくらいです。
でも、模様のようなものが散りばめられていたり、金色のプリント、あとはサインのフォントも好きで、「クリムト好き〜」くらいの軽い感じです(にわかとも言う)。

クリムト展 ウィーンと日本1900、初日の混雑程度は?

私は、オープン時間の9:30頃に会場へ到着しました。
前売り券を買っていたので、チケット売り場には並びませんでしたが、2列×5mくらいは並んでいた気がします。
それよりも…入場列が大変でした!!
まだ開場していなかったこともあり、4列(一部2列)×50mくらいは列になっていたのではないでしょうか…
平日ではありましたが、初日ということもあり楽しみにしていた人達が大集合!!という感じでした。
入場もまとまった人数を案内してはストップ、タイムラグを設けて、またまとまった人数を入場案内する、という形をとっていました。
はじめの入り口の方は混んでいましたが、展示室に進むにつれて、混雑はそうでもなくなった気がします。
やはり、平日は土日よりは空いていると思います!
別展示ですが、前回の「奇想の系譜展」(日曜日に行った)よりは、空いていました。

クリムト展の概要。展示がない作品もあるため注意!

今回の展示は、時系列ではなくテーマ別に進んでいます。
とは言っても、大体は時系列になっているのかな?
以下の8つのチャプターに沿って進みます。

  • クリムトとその家族
  • 修業時代と劇場装飾
  • 私生活
  • ウィーンと日本1900
  • ウィーン分離派
  • 風景画
  • 肖像画
  • 生命の円環

なんとなくは時系列ですが、後半は絵の種類別っていう感じでしょうか。

ザ・代表作である「接吻」は今回の作品リストにありません
また、作品リストにある「マリー・ヘンネベルクの肖像」は、以下の掲示がされていました。

作品番号97 グスタフ・クリムト作《マリー・ヘンネベルクの肖像》は、所蔵館の都合により展示しておりません。ご了承ください。

大人の事情ということでしょうか…。
マリー・ヘンネベルクの肖像を目当ての方は、ご注意ください!

再入場はできません。

再入場はできませんと掲示があり、基本的にはできないようです。
ただ、私は財布をロッカーに忘れてしまい、ショップでグッズが買えない…という事態に。
出口のスタッフさんに相談すると、半券に再入場OKのスタンプを押していただけました
また、イベント類(講演会など)の参加の際も再入場が可能みたいです。
(スタッフさんが、ほかの来場者に説明していました。)
基本はNGですが、特別な理由の場合のみ、可能になるようです。

クリムト展の感想。まるで1作の映画を観ているよう。

前回同様、チャプターに沿っていくつか作品をピックアップしながら、展示内容や感じたことなどを書きたいと思います。
これからクリムト展に行こうかな~と思っている方には、ネタバレと感じる方もいるかもしれません…。

個人的には、内容や感想を伝えたところで、本物を見るのとは話が違うので問題ないと思いますが、後述するようにストーリー性があり、それを1作の映画と捉えるならば、知らない方が楽しめるというのも1つの考え方かな?と思います。

事前知識ゼロでクリムト展に行きたい!!という方は、こちらは飛ばして「クリムト展を観て、感じたこと」へどうぞ。

1.クリムトとその家族

はじめは、クリムトの作品というよりは、家族構成や生い立ち紹介などが中心です。

ここがかなり重要!!!!!
個人的には、全ての軸になると感じました。(生育歴ってやつね。)

お父さんが金工師で、7人兄弟の第2子。
小さいときに5歳の妹を亡くしていて、30歳のときに父親と弟エルンストも亡くしています。
また、妹の死をきっかけに、母親はうつ病、姉も精神疾患があったようです。

なので、父親と弟の死以降、クリムトの作品には生や死、狂気というものが深く関わってくるんです。
この段階では、「そうなんだ~」という感想でしたが、展示場の奥に進むにつれ、この事前情報がすごく納得感に変わっていきます

このチャプターでは、クリムトの写真や弟のエルンスト、ゲオルク、友だちのマッチュの写真などが展示されていました。
その他、マッチュが書いたクリムトの姉妹、「ヘルミーネとクララ・クリムト」も展示されています。

その他、有名なこちらの絵も展示されていました。

ヘレーネ・クリムトの肖像(1898)

これは、亡くなったエルンストの6歳の娘の絵だそうです。
ほら、この時点で今までは「見たことある絵」だったものが、「あの一緒に仕事してたエルンストが亡くなって…残された娘の絵!?」と変わって、楽しくなってきます。

2.修業時代と劇場装飾

クリムトは、14歳のとき、ウィーン美術工芸学校に入学します。
裕福な家庭ではなかったので、クリムトは高等学校にも行っていないですし、このウィーン美術工芸学校というのもアカデミックな学校ではなく、どちらかというと職人さんの工芸学校だったみたいです。
けれど、優秀な人には特別クラスのようなものがあって、その少数に対しては、アカデミックな授業もあったみたいです。
クリムトも特別クラスに選ばれていたので、美術の基礎もしっかりとここで学んだそうです。

このチャプターでは、この時代のウィーンで活躍していた作家のハンス・マカルトの作品や、それに影響を受けたであろうクリムトや友だちのフランツ・マッチュの作品が展示されています。

この頃は、主に室内装飾のための作品がほとんどで、伝統的な作風。
依頼を受けて、依頼主の意向などを考慮して作っている作品です。

私は結構、この時代の作品も好きですが、それが果たしてクリムトだから好きなのか?と問われたら、なんとも言えません…

デッサン画もあったのですが、そこでびっくりしたのが、方眼を自分で描いているところ…😱
昔は方眼紙なんてないから、当たり前と言えば当たり前なのですが…
余談ですが、クリムトに限らず、昔の作品って気の遠くなるようなことしてること多くないですか…?

その他、特に気に入ったのはこの絵。


女神(ミューズ)とチェスをするレオナルド・ダ・ヴィンチ(1889)

こちらは、仲良しのマッチュの作品。
この2人の立体感とは裏腹に、背景の模様が平面的なところが目につきました。
画像じゃ分からないね…
これは、実物の解像度じゃないと分からないです…😭😭😭
しかも、この背景…なんか花札っぽいんです!!!!!
あと、ダヴィンチが右手に指輪をつけているのですが、この指輪がすごく目立つ
本当の金属みたいに、指輪だけが光っているように見えました。不思議。
そして、絵の中のチェス台が宝石のようなもので装飾されているんだけど、「これは絵?飛び出ている?」と、よく分からなくなるくらいに立体感がすごいんです。
横からのぞいても…結局平面なのか立体なのか全然分かりませんでした。
そんな感じで、平面だったり立体だったり、暗かったり輝いてたり、この1枚に色んなものを感じられて、気になる1枚でした。

3.私生活

出たー!!!

このあたりから、パーソナリティがどんどん出てきます。
楽しくなってきます。

クリムトは、生涯独身でしたが、子どもは何人もいます

生涯独身でしたが、子どもは何人もいます

あっ、すみません。
大事なことなので2回言いました。

最低でも4人の相手との間にできた、最低でも6人の子どもがいるそうです。
展示室では、14人の子どもがいると書かれていました。

ほとんどの相手はモデルだったらしいですが、そもそもクリムトのアトリエには、常に複数の裸の女性がまどろんでたり、たたずんでたり、自由に過ごしていたそうです。

そんな女性に対して、「今だ!」と思った瞬間が来たら、クリムトがウインクで合図するそうな😉。
その合図を受けたら、女性は静止して、モデルとなるそうです。

私だったら、ウインクに気づかずクビになるだろうな~。

けれど、クリムトはチャラい遊び人というわけではなく、むしろシャイボーイだったらしいですよ。
うーん…笑

そして、経済的には割と羽振りが良くて、子どもができたらその相手と子どもに対しては、きちんと生活費を工面していたそうです。
えらい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
許す!!!!!!!!!!!!!!!!

そんな、色々とやってるクリムトが、生涯一番大切に想っていた女性が紹介されていました。
亡くなった弟エルンストの妻の妹(義妹の妹)、エミーリエです。

エミーリエの写真や、クリムトがエミーリエに宛てた手紙が展示されていましたが、手紙にはハートに矢が打たれた絵も添えられていたり💘。

りつよメモにハートの模写。矢が刺さったところから血?が出ていた。

エミーリエは、ブティックを経営していたり、黄色いスポーツカーに乗っていたり、自立した女性だったそうです。
やっぱり自立した女性ってかっこいいよね…
一応、二人はプラトニックな関係だったとのことですが、真偽は不明らしい。

このチャプターでは、絵画は少なく、お相手の女性たちの写真や、エミーリエへの手紙などの資料が多かったです。

4.ウィーンと日本1900

1900年から、ウィーンでは日本趣味が流行したそうな。
クリムトも、そのような流行を目にするだけでなくて、自分でも着物や浮世絵を集めていたそうです。
この日本の影響を受けて、クリムト独自の様式を築いていくことになります。

このあたりから、私たちが知っているクリムトらしさに徐々に近づいていきます。

このチャプターでは、実際に影響を受けたであろう日本の小皿や、資料も展示
そして、日本の浮世絵感が取り入れられている作品が、クリムト作品に限らず展示されています。

有名どころのこちら。


女ともだちI(姉妹たち)(1907)

解説によると、女性の表情に、浮世絵の芸者・遊女っぽさがあり、左下と右上の模様は着物の市松模様みたい、とのこと。
なるほどたしかに、特に右の女性の瞳の感じは、セクシーさが表れている気がする。

クリムトが好きだったエミーリエの絵も。

17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像(1891)

ぱっと見気づかないのですが、この作品は額縁もクリムト作とのこと。
木でできていて、なんと梅の絵が描かれている。日本!
解説では、梅の花が描かれることで、女性の清楚なたたずまいが際立つとのことでした。
個人的には、おでこのうぶ毛さえも、丁寧に描かれていて、きっとこのおでこのうぶ毛もすべて、ひとつひとつが愛おしいんだろうな~と感じました。

愛をもって描いているように感じました。

5.ウィーン分離派

ウィーンの芸術は、伝統的・保守的な作品しか展示できない状況だったそうです。
2.修業時代と劇場装飾でも書いたとおり、伝統的なものが求められ、依頼され、その通りに作品を作る。
自分が感じたこと、自分が描きたいこと、作りたいものが作れない状況だったようです。

そこで、クリムトを中心に「ウィーン分離派」が誕生したそうです。
このウィーン分離派の誕生のときにつくられた作品がこちら。

ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)(1899)

昔から、裸の女性と鏡は「真実」のシンボルだったそうです。
解説では、「足元の蛇は、罪を暗示している」とのことでしたが、なるほど~と思い絵を見たら、「おたまじゃくし??」となりました。
上の文字が、分離派結成の決意を表す詩が書かれているそうです。
決意表明の作品なんですね。
どこにも触れられていなかったのですが、足元の両サイドにたんぽぽの綿毛のようなものも描かれています。
どういう意味なんだろう…?
今は風で飛ばされてしまいそうな小さな勢力だけど、これから育てていくよ、という意味かな~?なんて考えていました。

ここから、ザ・クリムト作品の嵐です。

Judith 1 (cropped)
ユディトI(1901)

これも有名ですよね?実家にも飾ってありました。
旧約聖書外典に出てくる、ユディトという未亡人が、敵国のホロフェルネスを誘惑して、ホロフェルネス自身の刀で首をとったという話だそうです。
そのため、手には生首をもっている絵になっています。

この作品で、初めてほんものの金箔を使ったとか。
額縁の上部には、しっかり「ユディト アンド ホロフェルネス」って書いてあります。

やっぱり表情がエロティックだし、静止画なんだけど所作が色っぽいというか…
女性の魅力を描くのが、すごく得意なんだなと感じました。
後で聞いた講演の中で、「2.修業時代と劇場装飾の時代、劇場で働いたときに、多くの女優を目にしていたことも作品に影響している」という話もあり、なるほどと納得がいきました。

その他、ベートーヴェン・フリーズ(複製)や、ウィーン分離派展のポスターも展示されていました。

ベートーヴェン・フリーズはすごい
これは画像じゃ分からないよう…
ベートーヴェンの第九を作品にしたもの
それと同時に、クリムトのパーソナリティがすごく反映されている。

左の絵は、幸せを夢見て、あこがれて、苦悩する人と、立ち向かおうとしている黄金の騎士

Klimt - Bethovenfries - linke Seitenwand - Ausschnitt1Klimt - Bethovenfries - linke Seitenwand - Ausschnitt2

その黄金の騎士が、何に向かっているかというと、正面の絵で、敵対する勢力

Klimt - Beethovenfries - linke Seitenwand - Ausschnitt1

ギリシャ神話のテュフォン(茶色いやつ)と、その娘たちゴルゴン三姉妹(テュフォンの左)。
ゴルゴン三姉妹やその上の女性、太った女性、こっちを見ている女性…
それらは肉欲・病・死・不節制…などを表していると。
これらすべてが抗えない「敵対する勢力」、とクリムトが感じているというところまでが作品な気がする。

家族の死や病気、たくさんの子どもができたこと、すべてクリムトにとってあらがえない、どうしようもないものだったことが想像できます。

右の絵は、第九の歓喜の歌です。
めっちゃ、歓喜の歌です!!!

Klimt - Beethovenfries - Rechte Seitenwand1

これも、クリムトにとっての幸せが、男女で抱き合うことで表現されているんだなあ…という。

ベートーヴェン・フリーズは、公式の動画がありました。

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この記事を書いた人

北海道生まれ北海道育ちのいもっ子。
リヨニカ学習帳は、りつよが日本語を練習するためのブログです。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 産毛まで愛してくれるクリムトみたく、3年に一度の乾燥肌さえも愛してくれる人がいるってことだね

ミヤニ へ返信する コメントをキャンセル

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